今回もパッキングをしていない。
前日に控えた大山登山の準備である。買い物を済ませ、帰宅時にはすでに時計は23時を回っていた。前々日に全てのパッキングを終えていれば、今夜はすとーんと寝れたはずだ。毎度毎度、自分の馬鹿さ加減にへきへきする。
さて、男梅酎ハイを飲みながら、今回グレゴリーの45Lザックに入れる荷物である。
□白飯
□アルファ米
□コッヘル(小)
□紙コップ
□EPIガスキット
□水ペットボトル500ml×4本
□ビール500ml×2本
□芋焼酎白波900ml
□折りたたみ椅子
□ネルシャツ
□タオル
□PETZLヘッドライト
□LEKIストック
□Patagonia雨具
と、こんな感じだ。
飲料系が多いが、飲めば無くなるので帰りは軽くなる予定。アルファ米は白飯を忘れてきちゃった人用で、ガスキットは万が一のための予備である。
熱いシャワーを全身に浴び、フルティンで米を炊く。今回、先発隊の4名が頂上でカレーを作ってくれるので、ライスだけ持っていけばいいのだ。
前回行った笠取山ぶりの登山だが、ここで悲報がある。
登山用速乾性パタゴニアTシャツを笠取山以来、洗っていないでザックに入りっぱだった。匂いを嗅ぐと無味無臭だが、ちょっと気が引けるので、急遽バンドTを着ていくことにした。アメリカのジャムバンドPhishのTシャツだ。ベーシストはマイク・ゴードン。
▼Phish
さて、白飯を残してパッキングは全て終了した。白飯は炊飯器で出発時刻の前にセットしてある。
時計を見ると1時を過ぎていた。目覚ましアラーム音をいつもの音と変えて、4時から念入りに15分づつ、ズラしてセットしてゆく。2時間30分しか寝れない。本当に明日起きれるのだろうか…。
やれるさ。
いつも、やってきたじゃないか。
自己暗示をかけ、すこーんと寝た。
はっ!
起きれた。
余裕で起きれた。
テレビをつけた。
落語番組を観ながら、しばし呆然としていると、あっという間に時計の長い針が進んでゆく。
起きたまま寝ているのだ。
慌てて白飯を弁当箱に詰める。何度もナイトキャップにネグリジェのまんま外に出て、外気の気温を確かめて服を選び、マイセルフファッションショーをして、自宅は4時55分に出発した。
外は真っ暗。
まだ、夜である。
地元駅から電車に乗る。
この時間の客層は4通り。
働くひと
呑んだひと
山いくひと
部活のひと
僕は「山いくひと」だ。
電車も予定時刻より早く乗り継いだ。眠い。小田急線で睡眠時間を稼いだが、寝たのは正味20分くらいだろう。向ヶ丘遊園から乗ってかた、ガキの剣道部が煩くて睡眠に集中できない。
許さん!
大山の参道で木刀を買って、
帰りは一匹残らず
駆逐してやろう。
▼秦野駅
秦野に着くと先発隊の4人がいた。
ここで先発隊のメンバーを紹介しよう。
・巨悪を追うジャーナリストのI氏
・チャーリーブラウンに似たカメラマンのN氏
・水どうのミスターに似たライターのM氏
・若手イケメンカメラマンのY氏
である。
挨拶の後、彼らをタクシー乗り場まで送って、僕は立ち食いソバを喰らうことにした。後発隊が来るまではまだ1時間ある。しかし、ガイドさんなので早めに集合場所にいなくてはならないのだ。それにしても、箱根そば前のヤビツ峠行きのバス乗り場は凄い行列だった。我々もこの行列に並ぶことになる。
▼箱根そばのかき揚げそば
箱根そばでかき揚げそばを喰らひ、かき揚げの油でツヤツヤのグリスリップで腹を撫でながら店を出ると編集者のW氏が待ち合わせ場所に来ていた。まだ、時間も大量にあるので、2人で珈琲屋に入り、茶をしばくことにする。
自転車の話しや多摩川CRの話しで盛り上がり、気がつけば待ち合わせ時刻の8時30分だった。
珈琲屋から慌てて出ると、我が隊のメンバー2人は既に大行列に並んでいた。残るはあと3人。デザイナー女史2人と風邪気味から突如参戦を表明した大船のルーニー氏だ。(前回の笠取山登山のカレカと同一人物です。)
デザイナー女史2人はすぐに来たが、大船のルーニーは全然来ない。しかたがないので先に出発することにした。それでもバスは満員で2組に分かれて乗ることになった。
大船のルーニーはその後電話があって、5つ先の「下宿」というバス停で乗ってきたが、なぜ「下宿」なんて小さなバス停で乗ってきたのか何度説明を聞いても理解できなかった。
先に出たバスのグループが待っていてくれたので、後発隊全員がヤビツ峠で揃って登山となった。
ここで後発隊のメンバーを紹介しよう。
・高尾山トレラン編集者W氏
・八王子名家ライターO氏
・闇居酒屋の店主兼ライターT氏
・柏のボルタリングライターO氏
・阿佐ヶ谷女性デザイナーK氏
・大和の女性デザイナーT氏
・大船のルーニー
・僕
9時40分。この8人で軽く準備運動をしたのち、ヤビツ峠の大山登山道入口から出発した。
しかし、いきなりの階段地獄と鬼のような傾斜で先頭を歩いていたガイド役の僕はすぐに脱落した。大船のルーニーも言い訳を言っちゃすぐに一服している。登山経験の最も多いこの2人がグループの足を引っ張っていた。
思い出したが、僕は富士山登山より大山登山の方がキツいと思っていたのだ。歩幅を安定できない階段ととっつきから急激な傾斜。気がつくと呼吸は乱れ、かなりゼーゼーいっていた。
大山は大嫌いだ。
それと、iPhoneのアプリ「DIY GPS」は電池だけ喰って、何の役にも立たなかった。
紅葉も最初は綺麗だったが、上に登るごとに視界は霧で被われて、やがて真っ白な景色になっていった。
▼秋の大山
2時間ほどでなんとか山頂に到着した。やっと調子が出てきたところだったが、鳥居が見えた時は本当にホッとした。しかし、山頂は凄い人の数だ。何万人くらいいるのかという数だ。
▼大山山頂
頂上では先発隊が美味しいカレーを作ってくださっていた。先ずはビールで乾杯し、みんなで持ち寄ったおつまみやワイン、そして毎回も楽しみなのは、闇居酒屋の店主兼ライターT氏が作る特製のお酒である。梅酒っぽい香りなのだが、果汁はゼロらしい。船橋加賀屋の特製ハイボールに近い味なのだ。これを飲んで疲れがスーッと引いた。そしてカレーは完成度が高い美味しいカレーだった。こういう登山のときに食べ物を残すのは御法度である。なので、みんなが食べ終わって残ったカレーをいただこうと思ったら、大人気であっという間に少なくなり、僕も慌てて持ってきた白飯にカレーを盛った。
飲むものを飲んで、食べるものを食べたら、急に寒くなってきた。面倒なのでそのまま着替えずにいると、急激に腹が冷えてきた。僕はザックからティッシュを探してトイレに行こうとしたが、ティッシュが無い。
みんなにバレないように
キッチンペーパーを取り出して
トイレに向かった。
そして、トイレに行って愕然とした。
#2につづく
↧
大山登山にいてきた#1
↧