いよいよライヴの前日だ。
ミッシェルガンエレファントやスカパラのステージ衣装でお馴染みの洋服の並木で仕立てたモッズスーツは、ふくらはぎの部分がパッツンパッツンだったのだが、お直しがライヴに間に合わないので、そのままでステージに立つことになった。
スーツを着てライヴをしたことがない小生は重くのしかかる不安を少しでも軽減するために、自宅で一人ファッションショーをした。
決して
ナルシストでは無い。
あくまでも、あくまでも確認作業である。
しかしながら、一つ大きな壁にぶち当たった。パッツンパッツンスーツに着替えると、靴を履けないのだ。中腰も出来ないので、Dr.マーチンの靴紐を結べないのだった。
これは計算外だった。
せっかくのライヴにDr.マーチンが履けないなんて思いもよらなんだ。
しかし、人間とは極限まで追い込まれると想像を遥かに超えた能力を発揮するのな。俺の脳内スーパーコンピュータPC-98シリーズが物凄い回転をして答えを導き出した。
その解決策とは…
ズボンを
半分下ろした状態で、
ブーツを履けばよろし。
つまりは、トイレットに行って便座に座るような状態でブーツを履けば、どんなにパッツンパッツンのズボンだろうが、簡単に出来てしまうのだ。
もちろん尻まで出す必要は無いぞ。
そうだ、パンツは穿いたまんまでいい。脱ぐのはズボンだけだ。
幸いライヴハウスというのは楽屋がある。この楽屋で着替えてしまえばいいのだ。それも大抵は出順前のバンドが優先的に使えるマナーがある。
このカッコ悪い状況を誰にも見られずにブーツが履けるのだ。
とりあえず自室で腰をくねらせながらスーツにブーツの完全なリハを終わらせた。なんか息苦しいけど大丈夫だ。何とかなる。
明日はいよいよ、
この鎧兜(仮)で
初陣じゃ!
翌日、自室での最終チェック(演奏面)を終えて、ライヴハウスに向かう。残念ながら、久しぶりにガチで弾いたので、指には水ぶくれが出来ていた。この翌週辺りが本当は一番指質(指の皮膚の硬さ)が適しているのだよ。ベーシストあるあるだな。
ライヴ会場に着くと、すでにメンバー全員は到着していた。ふんっ。普段のスタジオ練習じゃ遅刻ばかりするくせにだ。
僕は他人の出す爆音が大嫌いなので、自分のリハーサルが終わると楽屋に向かった。メンバー全員が楽屋に着き、スーツをハンガーに引っ掛けた。見事に「洋服の並木」と書かれたガーメントバッグが4つ並んだ。これを見て正直…
俺だけ
洋服の青山に
しなくて良かった!
と思ったのは内緒である。
さて、時間はそれから大分経ち、いよいよ我々の前のバンドの演奏が始まった。僕らは楽屋に行き、ステージ衣装に着替えるのだ。上手いこと着替えちまえば俺の勝ちである。
楽屋に着くと早速全員がスーツに着替えだした。なんか、一斉にやると早着替え大会みたいになるのなw
無言でモソモソと着替えていると、本日の企画主、スタジオペンタの女性スタッフが楽屋訪問してきた。彼女はミッキーな感じで、いつもニコニコしていて好感が持てるが、正直、今だけはそっとして置いて欲しい。これからライヴより大事なミッションがあるからだ。
彼女に背を向けてズボンを穿き、穿いたズボンをケツまで降ろして、計画通りブーツを履いた瞬間だった。
キャーキャー‼︎
カワイイー!
超カワイイパンツ
履いてるー!
そうだよ。
破れた時を想定した緊急用のステージパンツ、あのハート柄のパンツを見られてしまったのだ。メンバーも笑っている。それで緊張をほぐせたのなら、思いも寄らぬ副産物である。
それはいいが、ボーカルのギャン=スミタ氏はズボン脱ぎっぱなしなのなw
8の字になったズボンが床に脱ぎ捨てられていた。
間違いなく
B型の抜け殻である。
俺は彼女の黄色い歓声を一切無視して、新体操ロシアの女王カワエバのようにクールにツンと上を向きズボンを穿いてミッションインコンプリートと相成った。
▼女王カバエバ
そして、iPhoneで動画を撮るために階下にある客席へ行く。
このズボン、階段すらギリギリのパッツンパッツン度合いなのか!
そしてパッツンパッツンでまた楽屋に戻り、パッツンパッツンで幕の降りたステージでセッティングして、パッツンパッツンのままバックステージに戻り、パッツンパッツンのまま幕は上がった。
2曲目はパッツンパッツンのままジャンプをしたのである。
最前で見ててくれた自慢★毛のメンバーは俺のふくらはぎを触っていた。
俺は天龍源一郎かっ!
そんな自慢★毛メンバーは、俺の後ろ姿が妖怪人間ベムにそっくりだとディスっていた。
2年ぶりに自慢★毛がライヴをやる暁には、たっぷりと最前でディスってやろうじゃないか。
自慢☆毛の2年ぶりライブ決定!
7月27日(日)小岩オルフェウス
震えて待て!
そして、パッツンパッツンのままライヴは終わった。
もう、新しく作り直したズボンは完成している。そいつを梅ヶ丘まで取りに行って、次のライヴが本当の意味でのスーツ、いや、ハッチ完成形なのである。
そんな次のEDDIE PUMPKIN'S HIGH のライヴは…告知じゃないよな、この自然な流れ。
7月13日(日)
新松戸FIREBIRD
w)RAT/for521/トラヴォルタ&しゃぶりなベイビーズ/多火油機団/THE STARLITE WRANGLERS
DJ:吉田棒一(チンポシステムズ)
SHOP:加藤工務店
Op18:00 St18:30/前売¥2,000当日¥2500+1d
※エディーパンプキンズハイはトップバッター18時30分からでーす!