ザ・セパレイツのスタジオ練習前にドラムのキャン☆ドゥ氏といつもの珈琲屋で茶をしばいていた。着いて早々にやれ、アポロン楽器はどうの、Negiドラムはどうのなんて話しをしていた。
隣りの席には30代後半のカップルが。いや、丁寧な口調といい、話しの距離感といい、一緒にお茶を飲んではいるが、カップルとはほど遠い感じだ。
男は西村賢太みたいなタイプ。地味な服装にサンダルがいただけない。女はNHKの女性アナウンサー武内陶子を更に地味にブスにしたタイプだといっていい。
▼西村賢太さん
▼武内陶子さん
お互いの仕事の話しなんかを丁寧に聞いていた。話しのイニシアチブは賢太がとっているようだ。熱心に彼女を口説き落とそうという感じにも見える。
しかし、我々が驚愕したのは、その後の会話だった。
どうやら2人はドラムスクールに通っているようなのだ。なにせ、男の方が自分の使っているドラムスティックを出したりしているのだ。エアドラムまで披露しちゃっている始末である。女の方もまんざらではなく賢太さんは先生になれるとか褒めている。
穏やかでない。
穏やかでないのは西船橋一の天才ドラマー、キャン☆ドゥ氏だろう。
聖なるドラムが、今、婚活の道具に使われようとしているのだ。何度となく「カチ込みましょうか」とイキるキャン☆ドゥ氏をなんとかなだめた。
しかし、賢太は沈黙が恐いのか、少しでも彼女の気を引こうとしているのか、くだらないドラム自慢話しを続ける。
「先生に自分のスネアの後ろに貼ってあるガムテをペロっと剥がされて、うん。こっちの音のほうがいいなんて言われちゃいましたよアハハハハハ、アハハハハハ、アハハハハハ」
さすがに閉口してしまった。
そしてヤツはそんなどーでもいい話しを煮え切らずに2時間も女に話しているのだ。スティーヴ・ガッドなんて名前は会話の中に10回も登場させている。この263円のブレンドコーヒーで、もう彼女を引き止める限界だろう。ここで食事に誘わなきゃオマエのドラミングはまるで意味がない。おもちゃ売場のブリキの太鼓のおもちゃとなんら変わりがないのである。
そして、タイムオーバー。
このまま、食事にも誘えず賢太と陶子は珈琲屋を出ていった。
ただ、珈琲で尿意を促し、水分を排泄するだけの肉の管(くだ)となった賢太の背中を見ながら、追い打ちをかけるようにキャン☆ドゥ氏はこう呟いた。
どうせ出すなら自分のスティックを出しやがれ!
まさかのシモ的なディスりであった。
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太鼓の達人
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