写真集が激重い。
寫欲が止まらないエディパンのボーカルギタースミタ氏に、僕所蔵のスナップ写真の名手アンリ・カルティエ・ブレッソンの写真集を貸すために持ってきたのだが、そやつらが異常な質量でグイグイと鬼団六の麻縄のように僕の肩に、食い込むのだ。
しかし、珈琲屋で優雅に写真集を見るなんざ、なかなかのプレイである。なるべくこの文化的佇まいを全国の女子高生の皆さんに見てもらいたいのだが、生憎千葉のベロベロベローチェは深夜のゲートボール場のように閑散としていた。
写真集を観ながら苦いエスプレッソをペロペロと舐め、一呼吸、いや、ふた呼吸おいてからスタジオに向かった。
ライブでやる曲目を歓談を多めに挟みながら練習した。
10月はハロウィンなのでEDDIE PUMPKIN'S HIGHのライブは2回あるのだ。
あれ?あれ?
今日は新松戸Firebirdでエディパンのライブじゃね?
※EDDIE PUMPKIN'S HIGHの出演は17:10からです!
あ、そんで、スタジオ終わって「千葉のラーメンを慈しむ会」だ。用事があるシマちゃんとは、ここで別れた。3人で以前フラれた「七星」に向かう。今回はいつもと違って時間が早いので「七星」の営業時間に余裕で間に合うのだ。場所は千葉の反対側の寂しい方。美味いもつ焼屋「八角」の隣りだ。
店はガッツリ開いていた。早速、店内に入ると非常に落ち着いた雰囲気。入って左手奥に券売機があるので、そこでデフォの「濃厚鶏そば(塩)」のボタンを押した。スミタ氏と世界のダーワーは醤油。え?あの味噌ラーしか食べられない世界のダーワーが醤油?!と思う読者の皆様もおいでかと思うが、ここのラーメンは写真で見るにどうも濃厚な鶏白湯系なので、イケると判断したのだろう。まぁ、その判断は悔しいが間違いでは無かった。
カウンターで暫し待つ。
着丼!
ドロりとした少なめのスープに少し麺が顔を出している。早速そいつを箸で掴んでずふずふと啜る。
熱い!
美味い!
思わず口走っていた。
悔しいが店員のお姉さんが微かに微笑んでいた。スープはポタージュ系の濃厚な鶏白湯だ。濃厚過ぎるぐらい。そして、表面にはコラーゲン的な油膜がビッシリと覆い、そいつがスープの温度を冷めないように蓋がしてあるので、後半戦まで熱々なのだ。麺はちょっと柔かった。これは残念。そもそも鶏白湯が好きではないので、途中から飽きてきた。
完食し店を出ると、開口一番でスミタ氏が「天一だな!」と感想を述べた。
うん、間違いではない!
カメラに入った最新のスミタ作品を見せて貰うために喫茶店を探した。千葉駅の寂しいこっち側にはなかなか無いようなので、線路をくぐって、僕がフラランというバンドに入ってた時に良く利用した喫茶店に向かった。その喫茶店を前にして、全員が立ち止まった。
真っ昼間っから喫茶店の向かい側で、居酒屋がオープンフィンガースタイルで営業しているのだ。
僕は全然喫茶店で良かったのだが、しおらしくお酒の飲めないスミタ氏が、居酒屋でもいいですよなんて泣かせるセリフを吐くので、いや、僕は断ったさ、でも、ダーワーが少しだけならとか言う。僕は少しだけ呑むくらいなら呑みたくないと言うとダーワーは、「じゃあ、浴びるほど!」なんて言っちゃうので居酒屋に入ってあげた。
串カツがメインなんか知らんが、すでにドロドロなラーメンを食しているので、ビタイチ腹は減ってない。酒を呑んでお喋りしたいだけなのだ。
浅漬けみたいなサッパリ系のツマミを頼んだ。
店員の女子は異様にレベルが高い。そんな女子店員には目もくれずスミタ氏はカメラを弄っている。世界のダーワーは3DSを持ってない子供が公園で友達の3DSを覗き見るように鼻息が当たるほどの距離でカメラの背面パネルを一緒に見ている。
なんて平和な
休日なのだろう。
居酒屋でのメインテーマは自分の好きなプレイヤーベスト3というベタなもので、ボーカル、ギター、ベース、ドラムの4部門から選考された。3人の内の誰が始めたか忘れたが、1位はエディパンのメンバーを言う予定調和的な決まりになっているので、実質ベスト2というものだった。
話しも尽き、陽も暮れてきたのでお開きになり、千葉駅で別れた。
ほろ酔い気分で薄暮の千葉駅ってのも悪くないね。