渋谷の雑踏の中にいる。
なぜ、オレが一番嫌いな街、渋谷にいるのか説明しよう。
夜中の2時に突然電話が鳴った。
起きていたので、誰からの電話かも確認せずに反射的に取ってしまった。
まぁ、夜中2時の電話は取るわな。
電話の主は6年前まで一緒にGREENMOON ON THE WATERというバンドでギターボーカルをやっていたUJ氏だ。僕はそのバンドで15年間ベースを弾いていた。偶然にも日付変わって前日、そのバンドの元ギターのKT氏と6年ぶりにスタジオで音を合わせたばかりである。
偶然とはいえ、不思議なディスティニーを感じる。
さて、彼からの電話の内容だ。
ヘルプを頼むと。
もちろん、忙しいので断ろうと思ったが、次の一言で瞬間に凍りついた。
ドラムを叩いて欲しい。
ド、ドラム?
そして、その一言で全てを理解して、僕はドラムのヘルプを承諾した。僕がベースしか弾けないのは、重々承知の上でドラムをオファーしている。
相当な緊急事態なのだ。
なんでも、新しく入ったドラマー君が突然逃げ出したらしい。UJ氏はアンダーグラウンド界では伝説的なドラマーなのだが、GREENMOON ON THE WATERではギターボーカルなのだ。そして、ついついドラマーに口出ししてしまう。ドラマーってのは人口も少ないし、ちやほやされ慣れてるので、カチンときて辞めてしまう、その連続をなぜ繰り返すのか。恐らく性分だろう。
そして、ライブ直前になって、バックレられたので、あちこちドラマーを捜して、最終的に僕にオファーが来たという訳だ。
ちなみに僕の前は、元ゆらゆら帝国の沢田さんにオファーしたらしいのだが、今、ベルリンに住んでいるらしく、断られたという。
どうだ、凄いだろ?
ゆら帝の次がオレだぞ。
そして、ライブも凄い。
対バンが、D・O・T
あぶらだこのベーシストHIROSHI、ex.あぶらだこ、LIP CREAM、LAUGHIN' NOSEのドラマーMARU、ex.THE NURSEのヴォーカリストNEKOという、80'sパンク,ハードコア渦中の当事者であり、シーンの重要メンバーによる、大注目の大物3ピースハードコ アバンド、“D・O・T”
プラス、ダディ竹千代と元ポハイ編集長との座談会もあるらしい。
お、おい!
そんなとこでドラム叩いて大丈夫なのか?現時点でスティックすら持ってないんだぞ。
*
そして、渋谷にいるのだ。
UJ氏の営むピアス屋さんに来た。ハンズの裏手、ひときわボロいアパートメントにその店はある。日本で初めてボディピアッシングスタジオを始めた店だ。
電車で一度バッタリ会ったので、3年ぶりの対面だ。彼のここまでの経緯を聴き、演奏する曲だけが入っているCDを受け取った。1曲だけ僕の知らない新曲があった。
とりあえず、6月6日と6月21日にライブがある。
大丈夫だ。
座ってるだけでいいんだから。