千葉街道を走っている。
大菩薩嶺登山から5日後にサイクリングを予定していたのだ。
そもそも夏に色々な予定をキャンセルして、仕事を詰め込んだツケが今頃ここにきて噴出している。
しかし、使う筋肉が登山と自転車では違うので、なんとかなると思っている。無理なら俺だけ鈴木亜久里のように「電気系統!」とか言ってリタイアするつもりだ。
走り慣れた千葉街道を伝い、サンクスでウンコしてウエイトを落とし、待ち合わせ場所の平井大橋の下まで無事に来れた。
メンバー4人のうち、俺一人だけ平井大橋の下で落ち合う予定なのだが、参加者のコバさんが遅刻しているため、合流が遅くなるらしい。
俺は眩いばかりに咲き乱れるコスモス畑をバックに愛機の記念写真を撮影したりしていた。
しかし、彼らは約束の10時を30分過ぎてもなかなか現れない。3人の編成でロードバイクは1人で、あとはクロスバイクが2人だろうし、本格派ではないカッコをしているので、サイクリングロードでは逆に目立つ出で立ちなはずだ。俺はグーグルマップで今いる地点から、彼らが最初に集合した場所、堀切橋大橋までの距離と位置を調べた。
その橋は荒川の上流に向かって3つほど先の橋だった。遥か向こうに見えるあの橋がそうだろうか。例えコバさんが遅刻しても、そんなに遅くなるはずがなかった。
すると、突然スマホが鳴りだした。今回のリーダー、ツッチーからの電話だった。なんでも、遅刻した罰として先頭を走らされているコバさんが、俺との待ち合わせの平井大橋を通り過ぎてしまったとか。
すでに葛西臨海公園の方まで来てしまっているという。
はて、抜かされた記憶はないのだが、ふと目を逸らした瞬間に行ってしまったのだろうか。俺は急いでアルミの塊に跨って自分の命を揺らし始めた。
荒川ロックゲートを通過した辺りでもう一度ツッチーから電話が鳴った。
「自分たちも折り返すので三角のカタチの橋で待ち合わせしましょう」と言っていた。
もう一度漕ぎ始めると、また不動産のマンションの営業みたいに立て続けに電話が鳴った。
「ひょっとして、ハッチさん逆側にいません?」
え?どっちよ。
こっち東京寄りにいるけど。
俺は前回の待ち合わせと同じくそうだったように荒川の東京寄りを走っていたのだが、彼らは千葉寄りを走っていたのだ。
つまり右岸と左岸、川を挟んで同一方向に走っていたことになる。これなら例えお互いが向き合って走っていても前前前世まで遡ろうが遭遇することはないだろう。
確かに計画表には「江戸川区側で待ち合わせ」と書いてあるが、そんなの千葉県民は江東区と江戸川区なんてどっちがどっちか分からないし、前回と同じ場所と無意識に思うものぉ。
こうして、すれ違いながらも俺は向こう岸に渡るために葛西橋を渡った。やっと合流できると思って、河口方面に彼らが現れるのを今かと今かと目を凝らしていると、なんとさらに向こう側の橋もツッチーが言ったように三角になっていた。ちなみに後ろの橋もそういうデザイン。
つまり三角の橋だらけ。
いや、大概の橋は上が何らかの仕組みで三角になっているので、橋の目印を伝えるにしては最悪の表現方法だ。
こりゃ、今度は橋を間違えたと思い、さらに橋を一つ移動しようとした時に彼らは現れた。
やれやれ。
完全なすれ違い。
俺も悪いが、最初に遅刻して平井大橋を通り過ぎちゃったコバさんも悪いだろ。いや、俺が完璧に悪いなw
やっと4人でサイクリングができる。
まずは、国道357号線(湾岸道路)を千葉県方面に走って、ディズニーランドを一周するのだそうな。
車通りが多く、陸橋も多い。陸橋は降りて渡らなきゃ行けないので、ビタイチおもろくない。狭くタイトな湾岸道路をひた走る。ツッチーは走りに関してはストイックなので、結構どこでも飛ばすのだ。
意外とすぐにディズニーランドに着いた。
今回のメンバーを紹介しよう。
先頭…ツッチー
次鋒…ツッチーの妹さん
中堅…コバさん
殿(しんがり)……ハッチ
なんとなく、この順番で走ることなった。一番後ろってのは意外と自分のペースで走れないから疲労するのである。
ディズニーランドを一周した頃にはヘトヘトで、もう俺だけ帰りたい気分になった。なぜなら、ここから先は、俺だけ漕げば漕ぐほど家から遠くなるからだ。
一周してからまた国道357号線にもどり、同じルートでまた荒川サイクリングロードに戻ってきた。今度はこれからお台場に向かうというのだ。しばらくぽかぽかの荒川サイクリングロードを走る。すると突然爆竹のようなパーンッという破裂音がした。
とくになんら変わったこともないなと安心していたら、みるみるうちに前を走るコバさんの自転車が近づいて、減速して止まった。
そう、パンクである。
人生で初めて、自転車がパンクするところを目撃したのだ。
ツッチーとツッチーの妹さんは、パンクに気がつかずにどんどんと先に行って、米粒みたいに小さくなってしまった。
俺は電話で二人を呼び戻す。しかし、問題はこれからだ。4人雁首揃えたはいいが、誰一人パンク修理キットを持ち合わせていなんだ。
俺もたまたま家から出る土壇場でサイクリングバッグを変えたので、そっちに修理キットやら空気入れが入っていたのだ。それにいつも谷キャプテンがなんでもサポートしてくれるので、安心しきってたってのもある。
そんな谷キャプテンは今日いない。
すぐさまスマホで近くの自転車屋を探す。意外ではあるが、サイクリングロードを走っていると、自分がどの辺りを走っているのか分からないもんだ。
どうやらラッキーなことに西葛西駅から徒歩で30分の場所にいるようだった。3人は自転車を押しながら歩き、俺は1人で先に西葛西駅に行って、100円ショップでパンク修理キットを買う2ウェイ作戦に出た。
ガンタンク、ガンキャノンを残し、俺は単身白いモビルスーツで敵陣に偵察だ。
俺は西葛西駅のガード下にある100円ショップのキャンドゥでパンク修理キットを買い、ツッチー兄弟、コバさんの待つ自転車屋に向かった。
どうやらチューブが裂けたらしく交換。実はタイヤの方も裂けているらしい。タイヤの方は治せないのでチューブ交換だけをお願いしたとの事。1時間ほど時間を要するので、昼メシでも食おうとなった。
なんの因果かマッポの手先、コバさんはこの西葛西に勤めているという。なのでランチはコバさんに案内してもらう事にした。
リトルインドと呼ばれる西葛西のカレー屋さんに行くことに。僕たちは歩いて、コバさんは足軽のように走って伴走し、お店に向かった。
俺はこれでもかと自転車をグネグネ運転をして、並走しているコバさんを煽った。コバさんは真面目なのでビタイチ俺の挑発に乗らなかった。
地元コバさん推薦のカレー屋さんに入った。
スパイスマジック カルカッタ 本店
着皿!
評判通り美味しいし、結構なボリュームもあり、コスパ的にも申し分ないインドカレーだった。
ツッチーの妹さんは、今年の春までワケあってブラジルで長いこと生活していたので、僕らがスマートフォンをテーブルに放り出して談笑しているのを見て「ブラジルなら速攻持っていかれてる」と驚いていた。でも、リオは行ったことがない人には分からない独特の空気感があり、一度訪れると帰りたくなくなるそうだ。
インド人もびっくりに膨れ上がった腹を撫でながら、我々は自転車屋に戻った。自転車は無事に修理されていたが、全員の心は完全に折れていた。当初はお台場に行く予定だったのだが、平井の喫茶店でとりあえず茶をしばく事にした。
以前行った喫茶店「儚夢亭」はお休みだったので、ツッチーがスマホで探しまくった。彼は実家が喫茶店なので、昭和風喫茶店がめっちゃ好きなのだ。
探しまくった結果、今にもビーバップのヒロシとトオルが隠れていそうなレトロ喫茶が見つかった。もちろんゲームコーナーもあった。
喫茶 MIKADO
店内はジジババがトグロを巻いていた。
そこで平井民に紛れてコーシーをすすった。
店内を見渡すと、動かないように空気清浄機と床の隙間には、漫画が挟まっていた。
静かなるドンの14巻だった。
なぜ全108巻ある中で、14巻をチョイスして、ここに挟んだのかは謎のままだが、この喫茶店で完全にまったりした我々は、ここで御開きにすることとなった。
帰りは17時を回っていたので、真っ暗だったが、なぜだろう帰り道の千葉街道は、クルマが渋滞していたのだが、そいつをすり抜けるスリル、ちょっぴりデンジャラスで最高に楽しかった。
EDDIE PUMPKIN'S HIGHは少しお休み中です。
次のしゃぶりなベイビーズは…
12月10日(土)
新松戸FIREBIRD
全てのアホンダラ達へ
JET GENNOUSレコ発
open17:30 / start18:00
w) violets / JET GENNOUS / 無限放送 / 今泉まな / RAT
DJ
我慢汁フローム筑波
しゃぶりなベイビーズはこの日一番手。
18時から。
だから終わったら速攻で飲み放題にするわ。